米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認を巡る代執行訴訟は、20日午後2時に福岡高裁那覇支部で判決が言い渡される。代執行の3要件が大きな争点となっており、国と県の意見はそれぞれで真っ向から対立。中でも公益性の司法判断に注目が集まりそうだ。
地方自治法は、代執行手続きの要件に(1)法令規定や大臣の処分に対し違反、管理・執行に怠りがあること(2)他の方法で是正が困難なこと(3)放置すれば著しく公益を害することが明らかなこと―と定めている。
(1)について国は、県が承認しないことが公有水面埋立法の規定に反して違法などと主張。県に承認を求めた是正の指示を適法とした9月の最高裁判決も、県の事務遂行が法令規定違反だと示したとする。対する県は判決が県を法令規定違反と認めていないとして、国の主張で承認の命令は不可能と反論する。
国は(2)について、県が是正の指示に応じず、指示が適法と判断した判決が確定しても承認していないため、他の方法では是正できないと訴える。県は、問題解決に向けた対話を国に求め続けたが無視されたと指摘。代執行手続きは最終手段で、十分な対話の場を設けないままの手続きは違法だと述べている。
(3)について国は、県の対応を放置することで、国の安全保障や普天間飛行場の危険性除去が実現できないなどとして、「著しく公益が侵害される」と強調している。一方で県は、沖縄戦を経て過重な米軍基地負担を負う県民が新基地建設反対の民意を示してきたとして、「県民が示す民意こそが公益とされなければならない」と主張している。