沖縄県が保安林の指定解除の方針 勝連分屯地 米軍の改変は「国内法の適用外」 米から引き継いだ他の自衛隊基地も同様か


沖縄県が保安林の指定解除の方針 勝連分屯地 米軍の改変は「国内法の適用外」 米から引き継いだ他の自衛隊基地も同様か 保安林(イメージ写真)
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 うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地で沖縄県知事の許可なしに保安林が伐採開発された疑いがある問題で、県は31日、米軍の公務上の行為は国内法の適用を受けないことから「米軍により伐採された保安林は国内法に基づく保安林ではなくなった」として、保安林の指定を解除する方針を示した。県庁を訪問したミサイル配備から命を守るうるま市民の会に回答した。

 県森林課によると、保安林の解除は最終的に知事が判断することになっており「知事も一定の理解を示している」とした。保安林が米軍により改変された場合、日米地位協定上、国内法である森林法に基づく監督処分ができないと説明。担当者は「他の自衛隊基地でも同様なケースが見つかった場合、同じ対応を取ることも想定される」とした。

 県などによると分屯地内の保安林は1912年に旧森林法に基づいて指定区域にされた。73年に自衛隊が米軍から分屯地を引き継いだ時点では樹木はすでになくなっていたとされる。ただ、75年には西銘順治知事(当時)が保安林に再度指定しており、市民からは「当時の指定が間違っていたということか」と疑問の声が上がった。

 市民団体は保安林の一部は戦前の日本軍が伐採していたと指摘し、米軍から引き継いだ73年時点で「政府に保安林を復旧する責任があったのではないか」と質問した。県は、米駐留軍が使用した土地を返還する際の取り扱いについて定めた要綱に「地主が日本政府から原状回復に必要な費用相当額の支給を受け原状回復を行う」とあることを引用し、「日本政府に原状回復する責任があったわけではない」と回答した。(金盛文香、梅田正覚、沖田有吾)