米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設を巡る環境影響評価(アセスメント)の手続きで、沖縄防衛局が公表した「配慮書」への住民意見(パブリックコメント)は16日午後3時現在、19件にとどまっている。受け付けが郵送とファクスに限られており、広く意見を募る仕組みとは遠い。識者は「行政手続きへの住民参画こそが環境への配慮を実現する」とし、アセス手続きの目的が果たせていないと指摘する。
沖縄防衛局は385ページに及ぶ配慮書を7月10日に公表。関係自治体には事前説明を行ったが住民説明会は開かず、意見提出の期限を8月23日までとしている。
限定的な意見募集方法について防衛局は「郵送およびファクス以外の方法において、意見書を受け付けた事例はない」と回答。加えて、配慮書の一般からの意見聴取について「環境影響評価法等に、意見書の受け付け方法にかかる定めはないものと承知している」とした。
環境保全に関心のある市民はアセス学習会を開き、意見書提出を準備している。
環境環境アセスに詳しい琉球大学の亀山統一助教は、12日に浦添市内で開かれた勉強会で、環境アセスの手続きは、住民や行政機関からの意見を踏まえ、環境保全への適正な配慮につなげられると説明。多様な意見がない状態での評価の危険性を強調し、「計画が具体化されていない今の段階だからこそ意見を出せる」と訴えた。
(新垣若菜、慶田城七瀬)