<訃報>吉浜忍さん死去 74歳 沖縄戦研究に尽力 元沖縄国際大学教授


<訃報>吉浜忍さん死去 74歳 沖縄戦研究に尽力 元沖縄国際大学教授
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 元沖縄国際大学教授で、沖縄戦研究の第一人者である吉浜忍(よしはま・しのぶ)さんが23日までに、死去した。74歳。宮古島市伊良部出身。自宅は南城市大里。23日朝に自宅で倒れているのを親族が見つけた。

 吉浜さんは1972年に大阪教育大学を卒業。高校教諭(社会科)、沖縄国際大学教授を経て県文化財保護指導委員や新沖縄県史編集委員会会長などを歴任した。戦争遺跡として全国で初めてとなる沖縄陸軍病院南風原壕群(南風原町)の町文化財指定に尽力したほか、新沖縄県史や市町村史の編さんに多く携わった。

 教諭時代から沖縄戦史料の調査研究・収集に取り組み、住民の視点を取り入れた歴史編さんに重きを置いた。2004年には関東学院大の林博史教授とともに沖縄戦若手研究会を立ち上げるなど沖縄戦研究者の育成にも力を入れてきた。

 21年に発足した県の第32軍司令部壕保存・公開検討委員会に参加し、本年度からは保存・公開に向けた基本方針・計画を策定する基本計画検討委員会の委員長を務めていた。

 主な著書に「沖縄の戦争遺跡」(吉川弘文館、2017年)、「沖縄陸軍病院南風原壕」(共著、高文研、2010年)、編著に「沖縄戦を知る事典」(吉川弘文館、2019年)などがある。