名護市辺野古の新基地建設に向けた設計変更申請で県の不承認処分を国土交通相が取り消した裁決は違法として辺野古周辺住民18人が、裁決取り消しを求めた抗告訴訟の第9回口頭弁論が10日、那覇地裁(片瀬亮裁判長)で開かれた。片瀬裁判長は、被告の国側が、原告の住民側が求める県の不承認処分の効力回復で得られる住民の「法律上の利益」がないとして住民の「原告適格」を認めないよう求めている点を踏まえ、住民側に主張の根拠となる法令などを示すよう求めた。
国側は10日までに提出した書面で、住民側が取り消しを求める国交相裁決が「変更不承認処分の適否に尽きる」と指摘。裁決取り消しが、新基地建設後の航空機騒音など、住民への被害には影響がないことなどから、「原告適格を認める余地」がないと主張した。
住民側が、県の埋め立て承認の撤回を取り消した国交相裁決についての関連する訴訟で、原告適格を認めた福岡高裁那覇支部の控訴審判決を踏まえるよう求めている点についても、同判決を「著しく不合理」としつつ、「処分の性質、内容が大きく異なる」とした。
住民側は、片瀬裁判長の指摘を踏まえ、次回期日の12月5日までに国側の主張に反論するとした。
原告団の浦島悦子さんが意見陳述し、辺野古新基地建設工事について「次世代に軍事基地という負の遺産を残すものだ」とし、住民側に寄り添う司法判断を求めた。