国立琉球大学の50代男性教授が、首都圏の団体代表らに対する非常勤講師職への学内推薦の見返りとして、研究支援費名目で現金の寄付を受けていた疑いがあることが4日、複数の関係者への取材で分かった。国立大教授は「みなし公務員」とされ、見返りの寄付だと認められた場合は、贈収賄容疑に当たる可能性もある。琉大側は琉球新報の取材に「金銭の授受などについて詳しく調査している」とし、教授から複数回事情を聞くなどしているとした。同大から相談を受けた県警も捜査を進めている。
複数の関係者によると、教授は2012年から観光系学部の教授を務め、13年には学科長、18年には同大大学院で担当研究科の校務をまとめる研究科長に就任していた。大学内で権限を持っていたことから、23年から24年にかけて、団体代表らに大学での非常勤職の肩書を与える見返りに、自身が主催する学内の講座への寄付名目で現金を求めていた。受け取った現金を私的に使った疑いもあるという。
国立大学の教授は国家公務員に準じる「みなし公務員」に当たり、教授が職務に関わる便宜を図って現金などを受け取ることは贈収賄の罪に問われるおそれがある。
関係者によると、県警捜査2課は、教授が受けた寄付に賄賂性がある疑いがあるとして、今年に入って捜査を進め、9月から団体代表らに任意で事情を聴くなどしていた。団体代表や教授は犯意を否認しているという。
研究室の住所や連絡先、文部科学省などから科学研究費を受け取る際に必要な「科研費研究者番号」が記載されている琉大の「研究者データベース」から、同教授の項目は10月4日までに削除されている。