琉球大学(西田睦学長)は24日、ハラスメントと性暴力、セクシャリティの3分野に特化した教育研究組織「ヒューマンライツセンター」を1日付で設立したと発表した。
この3分野に特化した教育研究組織の設立は国内初という。設立記念事業として、年内にも国内外の専門家を招いて先進事例などを学ぶ国際シンポジウムを開く予定。
研究分野では、琉大が過去10年間に収集したハラスメントの事例900件をデータベース化し、再発防止プログラムなどの研究に活用する。既存の研究成果や国内外の法律、ハラスメント対策の規定、判例などを収集・分析し、独自の研究成果として発表する。
教育分野では、共通教育科目の一つとしてハラスメントなどを体系的に学べる講座の開設や、他大学や自治体、民間企業などのハラスメント担当者を招いた研修なども実施する。教育学部の教員養成課程では必修科目の中で一部を取り入れているほか、全教職員を対象とした研修、学外に出向いての研修などにはすでに取り組んでいる。知見を広く共有するために、県内の大学や行政機関、民間をつなぐネットワークを構築する。
センター長を務める矢野恵美琉大法科大学院教授は「ハラスメントなどの問題については教育課程で学ぶ機会が少なく、対応できる専門人材の育成も進んでおらず、専門の研究機関もない」と指摘。「その中で多くの組織が困りごとを抱えている。各組織をつなぐネットワークを構築し、問題解決につなげていきたい」と意義を語った。
琉大では2015年に「ハラスメント相談支援センター」、23年にセクシャリティに関する相談に対応する「プライドオフィス」を設立し、対策や事例の収集に取り組んできた。ヒューマンライツセンターでは、過去に積み上げた知見も活用し、研究を進める。
(外間愛也)