浜辺で貝殻拾いをする時、みんなに人気なのが、丸っこくてかわいいタカラガイ。表面が砂で削れているのが多いけれど、きれいなツヤツヤなものを拾ったら、宝物を見つけた気分です。
そんなタカラガイが生きている時、えっ、これがあの貝?とびっくりするような、貝殻とは全く違う模様の膜で覆われています。しかも膜にはトゲトゲやフサフサの出っぱりまでついて、なかなか派手!
この膜には、結構大事な役目があります。一つは、貝殻に他の生き物がくっつかないように守ること。そしてもう一つ、実はこの膜こそが、貝殻を作っているのだということです。外套膜(がいとうまく)と呼ばれるこの膜は、貝殻の成分の炭酸カルシウムを分泌します。つまり、膜が覆っている貝殻の部分は、常に少しずつ、分泌された貝殻成分で塗り直されているんです。
一般的に巻貝の外套膜は、身と貝殻の間にあります。それでどうやって殻を大きくするかというと、貝殻の口のところを内側から外に向けて、外套膜で少しずつ塗り伸ばしていくんです。だから内側はいつもツヤツヤだけれど、外側はざらざら。ところがタカラガイは、この外套膜を殻の外側まで全部覆うことで、内壁も外壁も常に新しいツヤツヤを保つようになりました。
中も外もきれいなお家のタカラガイ。私たちの家も、時々塗り直してあげたほうが長持ちするのは、彼らと同じかもしれませんね。
Vol. 8 キイロダカラ
Monetaria moneta
● 目:新生腹足目 Caenogastropoda
● 科:タカラガイ科 Cypraeidae
● 属:キイロダカラ属 Monetaria
キイロダカラ 2014年3月17日 場所:カーミージー(浦添市)
ハナビラダカラ 2018年10月8日 場所:屋嘉田潟原(恩納村)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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