【新潟で当山幸都】沖縄一色のトークライブが開かれた28日の「フジロックフェスティバル」。玉城デニー知事は洋楽カバーを2曲歌い上げて会場を埋め尽くした聴衆を沸かせたが、曲中の一節に自身の強い訴えを替え歌で盛り込んでいた。演奏後には「今まであまりアプローチできなかった方々との接点だと思う。非常に大切だ」と語り、県がこれまで取り組んでこなかった分野での情報発信に期待感をにじませた。
玉城知事はアコースティックギターを手に、1曲目はCCRの「雨を見たかい」を披露。2曲目は「ORANGE RANGE」(オレンジレンジ)のベース・YOHさんも加わりボブ・ディランの「見張り塔からずっと」を演奏したが、その一節に自身のメッセージをアレンジして取り入れた。
オリジナルの「Plowmen dig my earth(農民が俺の土地を耕す)」の歌詞の部分。玉城知事はここを「Statesmen landfill my Henoko shore(政治家が俺の辺野古の浜を埋め立てる)」と言い換え、沖縄を取り巻く現状をメロディーに乗せ訴え掛けた。
「音楽の核になるのは反権力。そのステージで沖縄県がメッセージを発信することで、多くの国民に正当な主張を受け止めてもらえるのではないか」。演奏後、玉城知事はそう振り返って充実感を漂わせた。
玉城知事らが出演した「アトミック・カフェ」は、反核や脱原発を発信しようと始まった音楽イベント。いったん活動を終えていたが、東日本大震災後にフジロックで復活した。毎年政治や音楽を絡めた社会問題を取り上げている。
1500人規模を想定する会場にはあふれんばかりの人だかりができた。アトミック・カフェの大久保青志代表は予想以上の反響に驚き「2012年に招いたYMOに近い状態だった。デニーさんの声を聞いた参加者がそれを持ち帰り、どうするかだ」と話した。