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浦添市長動画に批判 「女性蔑視」「セクハラ」 TikTokでホテルPR 松本市長は「ぎりぎりのラインを心掛けたつもりだった」と釈明


浦添市長動画に批判 「女性蔑視」「セクハラ」 TikTokでホテルPR 松本市長は「ぎりぎりのラインを心掛けたつもりだった」と釈明 「セクハラ」ではないかと批判の声が上がった浦添市のTikTok公式アカウントの動画の冒頭部分
この記事を書いた人 Avatar photo 藤村 謙吾

 浦添市が6月末、動画投稿アプリ「TikTok」に投稿したショート動画が、女性蔑視に当たるのではないかと問題になっている。市内に新しくできたホテルをPRする53秒の動画で、導入の見出しは「市長が美女とホテルへ」。性暴力のない社会を訴えるフラワーデモin沖縄の呼びかけ人である上野さやかさんは動画に対し、「見て不快に感じている人がいるのも事実だ」と指摘する。

 動画が話題になったきっかけは、9月16日のX(旧ツイッター)への動画の内容を疑問視するポスト(投稿)だ。投稿者は「浦添市長のやつ(オフィシャルだよこれ)を見てしまい、恐怖に震えている」とコメントした。

 動画は、松本哲治市長が女性とホテルの部屋に入っていくように見せかけ、実は女性従業員からホテルの案内を受けているというオチ。最後はプールサイドから市長が「君も一緒にプールに入らない?」と女性に声をかけるが、袖にされるという内容。9月21日時点で、1645件の「いいね」がついている。

 浦添市は2022年10月から「TikTok市長」と題して動画投稿を始めた。翌年6月まで計25本投稿した。

 外部のTikTokクリエイターが台本を書き、複数の担当課職員と市長で内容を確認し撮影に臨んでいた。

 上野さんは松本市長が女性をプールに誘うせりふについて「視察の場面では不要なせりふで、相手が女性だから書かれたシナリオだと想像できる。これこそがセクハラだ」と述べた。

 松本市長は「誰かを傷つけたり、女性を蔑視したりするつもりはなかった。批判が完全に来ないような内容でつくると誰も見てくれないという中で、ぎりぎりのラインを心掛けたつもりだったが、気分を害された方がいれば申し訳ない。(SNS利用に当たっては)不快にならない形になるよう気をつけたい」と述べた。松本市長は22日午後4時に会見する。

 (藤村謙吾)

>>続報:【動画】浦添市長「PR狙ったが逆にご迷惑とご心配かけた」と謝罪

識者に聞きました
喜納育江さん 琉球大学教授(米文学・ジェンダー研究)

 そもそもジョークとして面白くない動画だ。新しいホテルのPRのはずが、何のPRになっているのか。PR動画なら、それにふさわしいものを作るべきだと感じた。

 「男だったら」受けるだろうと、オーディエンス(情報の受け手)に男性しか想定していない内容だ。あの動画を面白いと思う感覚自体が古く、非常にずれている。

 女性とホテルに行っているかのような冒頭の場面、最後の女性スタッフへの声かけは、れっきとしたスタッフとしてホテルを案内する女性を、プロとして扱っていない。ハラスメントに当たると指摘されても仕方がない。

 市長は親しみやすさを出したかったのかもしれない。実際に会ったときに親しみやすい方だと感じたが、今回の動画は不必要な言動ばかりでもったいない。市長にジェンダー意識があるならば、あのような品のない台本には乗らず、まずいと指摘すべきだ。リーダーは流されてはいけない。

識者に聞きました
モバイルプリンスさん スマートフォンアドバイザー

 今回問題になったのは、いわゆる「ショート動画」というジャンルの動画だ。「ショート動画」は、最初の2秒でどれだけ人をひきつけられるかが問われるため、あおり気味になったり、インパクトのある入り方をしたりしているものが多い。

 それが、2秒で注目を集めないといけない動画の際どさと、発信者が行政という組み合わせの悪さが際立った。

 TikTokには、過剰な表現が多くあり、それらの動画を見ていると「あれくらい大丈夫だろう」と思うかもしれない。しかし、行政として感覚をまひさせてはいけない。

 2021年1月には、中城村公認のVTuberが『#私の容姿が性癖に刺さる人に届いてほしい』などと投稿し批判が集まり、村が謝罪した。ネットユーザーに受ける言葉を選んだ結果、行政の発信として不適切な形となった。今回も似た原因の事例だろう。他の自治体や公人も振り返るべきだ。

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