【浦添】浦添市が動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で配信したショート動画が女性蔑視、セクハラに当たるなどと批判を受け、浦添市の松本哲治市長は22日、市役所で会見し謝罪した。松本市長は人権意識の低さを問われ、「おっしゃる通りです。今一度、専門家の意見を聞きながら反省していかなくてはいけない」と述べた。
問題となったのは新しく浦添市内にできたホテルをPRする動画で、「市長が美女とホテルへ」と見出しが付けられ、市長が女性と部屋に入っていくような映像が含まれている。会見では、市長自身のハラスメント意識への質問が集中した。動画への批判を受け「不適切だった。あたかも女性とホテルに行った(かのような表現は)、セクハラに当たると認識をしている」と釈明した。
女性蔑視とも取れる表現が別の動画にもあることについて「今考えれば非常に不適切な動画だった。どうやれば見てもらえるかや、驚きを動画の中に入れるかが先行し、配慮に欠けた」と述べた。
市のハラスメント意識の改善についても言及。「庁舎内でも反省、検証をしていく。何とか(市を)PRしないとという焦りもあり、勇み足になった。動画を見て、ぎりぎりOKだろうと思った私自身の感覚を反省していかなくてはいけない」と語った。
市長は会見で、議会で追及を受けても投稿を続けたことについて「フォロワー、再生回数が増えていった。多くの方から見てるよと声をかけられた」と弁明した。今後の動画投稿については「終了に限りなく近い」と述べ、中断を示唆した。
当初から市のSNS戦略について追及してきた与党議員は「市を知ってもらう目的があったとしても、見た人全てに受け入れられる広報でないといけない」と嘆息した。
動画は、外部のクリエーターが台本と編集を担当し、計25本の動画制作の事業費は240万円。 (藤村謙吾)
【会見一問一答】
松本哲治市長の会見での主なやりとりは次の通り。
―SNSのチェック機能は。
クリエーター、私、担当部署もチェックしている。指摘を受けた動画が女性蔑視やハラスメントに当たるとは思わず、ガイドラインに抵触しないという認識で配信した。
―動画に対しては。
市長がやるべき内容ではなかった。ありきたりの内容では見てもらえないので、ぎりぎりのラインを狙った。女性蔑視を意図したものではなかったが、不快感を与え、セクハラに当たると理解した。
―ぎりぎりのラインとは。
普通にホテルの紹介ではなかなか多くの人に見てもらえない。最初の2秒でいかに視聴者を引き付けるかという意味でちょっと驚くようなタイトルを出して、実は違うというオチ。そこがぎりぎりという意味だった。
―これまでの投稿について。
ぎりぎり大丈夫だろうということで配信している。今回の指摘を受けて、改めて検証しなくてはならないと思っている。
―市にジェンダーやハラスメントの研修はあるか。
職員への研修はあるが、私自身は受けていない。認識を改めないといけないと思っている。
―今後の意識改革への取り組みは。
庁舎内で反省、検証をしていく。地道な公報の在り方に立ち返る。私自身の感覚を今一度、専門家の意見を聞きながら反省していかなくてはいけない。
【識者談話】感覚が古く、ずれている 浦添市長ショート動画問題 喜納育江・琉球大学教授(米文学・ジェンダー研究)
そもそもジョークとして面白くない動画だ。新しいホテルのPRのはずが、何のPRになっているのか。PR動画なら、それにふさわしいものを作るべきだと感じた。 「男だっ …
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