【宜野湾】米軍普天間飛行場に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが配備されて10月1日で11年となった。オスプレイは開発段階から事故が絶えず、昨年8月には構造がほぼ同じ米空軍のCV22でクラッチの不具合が分かり、同機種の一時運用停止措置が取られた。だが、海兵隊のMV22は飛行停止にならず、普天間飛行場所属のオスプレイは県民の頭上を日々、飛んでいる。不具合の根本的な原因は分かっておらず、配備から10年以上が経過しても住民からは不安の声が絶えない。
普天間飛行場の向かい、市佐真下に住む仲宗根清茂さん(73)は「夜の10時を過ぎてもエンジンをうるさくしているよ」と「日常」を語る。屋上から機体が目と鼻の先に見える。「慣れたくて慣れたわけではないよ」とため息をつく。
オスプレイの普天間飛行場配備を知った時、2004年の沖縄国際大ヘリ墜落事故が頭をよぎった。当時、勤務していた宜野湾市役所の屋上に上ると黒煙が上がっているのが見えた。唖然(あぜん)とした。
「また事故が繰り返されるのではないか」。その思いに駆られ普天間飛行場のゲート前や県内各地で開かれる反対運動に積極的に参加した。
懸念は的中した。16年、名護市安部の沿岸で普天間所属のMV22が墜落、大破した。その後も世界各地でオスプレイの事故は続き、今年8月にはオーストラリアでハワイの海兵隊所属のMV22が墜落、3人が死亡した。普天間所属機も新石垣空港などで緊急着陸を繰り返している。
「米軍機が空を飛んでいると必ず目で追いかける。それだけ不安なんだよ」。仲宗根さんは普天間飛行場の撤去が最善の解決策だと考え「辺野古への移設には反対だ」とも語る。名護市民に同じ思いを抱えてほしくないからだ。一方で、政府は普天間飛行場の危険性除去には「辺野古が唯一の解決策」と繰り返す。
「11年前の配備から変わらない。沖縄差別だ。『地元に寄り添う』とは口ばかり」と憤る。「(国防を)全国民の問題としていま一度、みんなで考えることはできないか」と仲宗根さんは訴えた。 (名嘉一心)