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有事の島外避難計画 与那国町が住民説明会 九州へ避難想定


有事の島外避難計画 与那国町が住民説明会 九州へ避難想定 有事を想定した島外避難計画の住民説明会=9日、与那国町の比川多目的集会施設
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 【与那国】国民保護法に基づく武力攻撃事態を想定した「避難実施要領」を策定するため、与那国町は9日、避難方法に関する住民説明会を与那国町の比川多目的集会施設で開いた。住民約30人が参加した。住民から「島から避難したくない」との意見や、島に残った後の生活保障のあり方、避難の強制力の有無などの疑問が噴出した。


 与那国町は9月から説明会を開催し、祖納で2回、久部良で1回、今回の比川を加え計4回を終えた。全体で85人の住民が参加した。9月末時点の町人口1686人で、参加率は5%だった。町は二つの避難計画案を説明して町民から意見を募り、実効性ある実施要領を作成するとしている。
 2案のうち、「プランA」はフェリーや航空機を利用して石垣経由で九州に避難する。「プランB」は悪天候で船舶が利用できない場合、民間の航空機で福岡空港に直接避難する。

 住民からの「避難は強制か」との質問に、町担当者は「国民保護法で法的義務は生じるが、強制力はない」と答えた。
 「避難せず島に残った住民の生活保障を国がしっかり示すべきではないか」との問いには、「確認して(後日)報告したい」と述べた。
 与那国島内のガマに避難するとの意見もあり、担当者はガマへの避難が可能か国の関係者にも「ガマを見てもらった」と明かした。

 町は住民からの意見を踏まえ、11月ごろをめどに本年度の避難要領の概要を取りまとめる。その上で、来年1月末に県と国が共同で実施する、先島地域の避難に関する図上訓練に生かす方針だ。(照屋大哲)