大麻の譲渡疑いの男性に無罪判決 那覇地裁沖縄支部 検察の証拠物を実物と認めず


大麻の譲渡疑いの男性に無罪判決 那覇地裁沖縄支部 検察の証拠物を実物と認めず 那覇地裁沖縄支部(資料写真)
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 沖縄市内で2022年1月、営利目的で液体大麻約0・918グラムを知人男性に譲り渡したとして、大麻取締法違反(譲渡)の罪に問われた20代男性に、那覇地裁沖縄支部は12日、無罪判決(求刑懲役1年、罰金20万円、追徴金1万5千円)を言い渡した。林田海裁判官は、検察側が証拠として示した大麻について「(実物かどうかに)合理的な疑いが残り、これを認めるに足りる証拠はない」と判示した。

 判決によると、男性は初公判で起訴内容を認めた。一方、証拠調べで検察側から液体大麻と専用カートリッジを示されると、実際に渡したカートリッジと大きさが異なると主張。弁護側はその供述を基に、証拠物が実物かどうか合理的な疑いがあるとして無罪を訴えた。証拠物は22年4月、譲り渡した知人への家宅捜索で押収されていた。

 知人は証拠物が実物だと述べたが、林田裁判官は判決理由でその供述の信用性を認めなかった。男性が警察官の調べで実物を確認せずに譲渡物と認めたなどとして、警察官作成の調書は信用できないとした。検察側は男性の供述は虚偽などと主張したが、「供述の信用性を排斥するものとはいえない」と指摘した。

 判決を受け、男性の代理人弁護士は取材に「主張の通り、適切な判決だった」と評価した。那覇地検の初又(はつまた)且敏次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。