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うじがわく傷口に尿 新里正子さん(4) 家族を失って<読者と刻む沖縄戦>


うじがわく傷口に尿 新里正子さん(4) 家族を失って<読者と刻む沖縄戦>
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 新里正子さん(84)=読谷村=の叔母の清子さんと祖父が砲撃で大けがをしました。叔父は叔母の背中をさすり「痛いか」と大泣きし、祖母も片手を失った祖父の前で嘆きますが、どうすることもできません。

 《うじゃさーや 妻(とぅじ)ぬながにシリシリーし「やむらやー」涙(なだ)そうそう うんめーや夫の側(すば)んじ アキサミヨーナー いちでーじ ちゃーされーしむがやー 片手失なてねえらん 泣(なち)ちげーげー 一緒(まじゅん)をたる大人(うふっちゅ)ぬちゃーやー「やむらやー やむらやー」声かきーるうっぴ ちゃーすることん成(な)らん。》

 雨が降った翌日、片足を失った叔母の傷口からうじがわきます。「生きている人からうじがわくのか」と驚きました。

 《何日目ーがやたら 雨降いる翌日(なーちゃ) おばさんの足ぬ傷口から、うじ虫がグジャグシャし うふーくなてぃちゅぐとぅ 我(わん)ねー生ちちょーる人(ちゅ)の体(どぅ)から うじがわちゅるやー いっぺーひるまさたん。》

 叔父は叔母がかわいそうだと思ったのでしょう。クワズイモの葉に取った尿を叔母の傷口にかけました。新里さんは叔父が叔母をいじめていると思い、足にかみつきます。

 《おばさん側(すば)んかい居(い)ち うじ虫見ちょーる時 自分(どぅ)ぬ妻が肝(ちむ)ぐりくなてぃがやたら 自分ぬシーバイ いーごー葉かいとってぃ うじぬわちゅるとこんかいかきたぐとぅ とぅんもーて あがよーし うり見ちゃる我ねー童どぅやぐとぅ おばさん いじみとーんでぃ思てぃ 「やな おじさん許さん あんすかなー苦(く)ちさしみてぃ」 うふあびーし おじさんぬ足んかい かん喰(く)ーやびたん。》