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「司法の劣化」辺野古サンゴ訴訟が即日結審 科学的な検証機会もなく、環境団体が問題視


「司法の劣化」辺野古サンゴ訴訟が即日結審 科学的な検証機会もなく、環境団体が問題視 埋め立て工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 辺野古新基地建設に向けた大浦湾のサンゴ移植の手続きをめぐる訴訟が即日結審されたことに、環境問題に取り組む団体や研究者からは、サンゴ移植を科学的に検証する機会が失われたことを問題視する声が上がった。

 サンゴ移植を巡っては、これまで国は夏の高水温期などのサンゴ移植を避けるべきという専門家らの指摘を受けながらも移植を続けてきた経緯がある。今年8月には沖縄防衛局が移植サンゴの白化を環境監視委員会に報告しており、生存が危ぶまれている。
 辺野古・大浦湾のサンゴに詳しい日本自然保護協会主任の安部真理子さんは「環境のことを本気で考えていないのではないか」と指摘した。10月に大浦湾に潜った際に、移植サンゴの一部が死んでいるのを目撃したとし「市民団体が調査した範囲では移植されたサンゴの生残率が高いとは言い難い。違うのであれば、そのデータを国が示してから許可申請をすべきだ」と話した。

 環境アセスが専門の桜井国俊沖縄大名誉教授は、実質的な審議をしないまま結審したことに「司法の劣化であり、あり得ない」と批判。辺野古新基地建設のための埋め立てに伴うサンゴ移植は「貴重な海を破壊する行為であり、後世への説明責任を果たせるのか」と投げかけた。 

(慶田城七瀬)