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【深掘り】「一人5億円、もう一人14億円」所有権移転が成功したら…交錯する思惑 那覇前議長汚職事件


【深掘り】「一人5億円、もう一人14億円」所有権移転が成功したら…交錯する思惑 那覇前議長汚職事件 贈収賄事件にかかる那覇市の上下水道局関連用地周辺=16日午後、那覇市上之屋
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 那覇市有地の所有権を巡り、市議会前議長(10月に議員辞職)の久高友弘容疑者(75)=同市=ら4人が逮捕された贈収賄事件。贈賄容疑で逮捕された元総会屋の男(80)=鹿児島県、会社役員の男(70)=東京都=の両容疑者と、同容疑で書類送検された不動産コンサルタント会社元代表の男性(73)=那覇市=との間で、現金供与に関する成功報酬支払いの合意があったことが16日までに、関係者への取材で分かった。

 市有地の所有権移転を通じ、多額の現金を得ようとする容疑者らの思惑が交錯し、事件が引き起こされたとの背景が浮かぶ。 

 那覇市の90代女性が所有権回復を求めている那覇市上下水道局の関連用地は、市の新都心地区に点在する。国土交通省の「不動産取引価格情報検索」で、市おもろまちでの昨年の取引価格で換算すると、所有権回復を目指した市所有地約1万数千平方メートルの取引価格は単純計算で100億円超となる。


 久高容疑者と市有地の所有権回復を求める女性の後見人で自営業の女(71)=那覇市=は、市議会の議長室で不動産コンサルの男性らから現金5千万円を受け取ったとされる。
 関係者によると、この5千万円は会社役員の容疑者が証券などを担保に知人から借り入れ、元総会屋の容疑者を介して不動産コンサルの男性の会社に貸し付けたとみられる。仮に市有地の所有権回復がなされた時に、自営業の女の容疑者らを通じて不動産コンサル会社から多額の成功報酬が支払われる計画だった。同社と自営業の女の容疑者の間では、この土地の売買契約が成立しているという。


 関係者の一人は「5千万円の見返りに、会社役員の容疑者に5億5千万円。元総会屋の容疑者に14億5千万円が支払われる予定だった」と証言する。収賄側の久高、自営業の女の両容疑者が、贈賄側3人の合意の詳細を把握していたかは不明という。
 不動産コンサルの男性は「土地の所有権は久高(容疑者)が議会で市当局を追及して早々に決着がつくはずだった。当初は土地の所有権回復でみんな全会一致で進んでいた」と話す。
 土地に関する調査が進み、にわかに所有権移転がささやかれ始めると主導権や配分などを巡り、信頼関係が崩壊していったという。男性は「(容疑者らは)みんな現金授受の目的を知らなかったなどと話しているようだが、議長室に集まった全員が知っている。みんな金に目がくらみ欲張った結果だ」との見方を示した。