今回の集会は、沖縄で進む軍備強化に対して、オール沖縄会議などの既存の団体が前面に出ず、世代を超えた「対話」を打ち出している点が特徴だ。
「辺野古新基地を造らせない」を一致点にしてきたオール沖縄会議は、保守の人たちも含めた戦争・戦後体験がベースにあった。翁長雄志前知事が体現し、戦後の不条理を訴える言葉は、特に50、60代以上の世代への呼びかけとして力を持っていた。
しかし、10年近くを経て、若い世代を含めて、軍事要塞(ようさい)化や「再び戦場になるのではないか」という危機感も高まっている。より踏み込んで、この間の政治的な枠組みを乗り越えていかないと課題に対応できない。
保守と革新が残っている沖縄でも、2000年代に入ってからは政治的な動員だけで集会が成り立つ状態ではない。「対話」を強調し、アートやSNSを活用した今回の取り組みは、より若い世代に参加してほしいという表れだ。
政権の強硬な姿勢の影響もあり、保守層や経済界の支持は得にくいが、地域をベースにした運動が鍵を握る。23日の集会に集まった規模の大きさだけではなく、その後に、生活に根差した問題に置き換えながら、地域での運動をどう広げていけるかが大切だ。また、東アジア情勢が不安定な中、軍事を強化する動きでいいのか、戦争体験の継承も重要な局面といえる。 (社会学)