県の開示文書からは、返還・引き渡しが予定されていた米軍北部訓練場跡地で、米軍の廃棄物が発見された後の県や国の対応が見えてくる。
県は2017年6月に防衛省と防衛局から返還跡地の支障除去について中間報告を受けた。防衛省は米軍が廃棄した鉄板などについて「現時点での撤去は考えていない」とし、跡地利用の道路整備などと合わせて撤去することを説明。環境省や林野庁にも説明し合意を得たことも報告していた。
国からの報告を受け、県は同年8月に庁内の見解を統一するための担当者らが意見交換をした。環境部は、現場について「将来的に(世界自然遺産登録の前提となる)やんばる国立公園に編入される可能性がある」との見解を示した。企画部は、廃棄物が残されたままになることに「支障除去の徹底の観点から国に何か言うべきではないか」と懸念を示した。運搬が困難であることを理由にする防衛省に対し、「鉄板等を切断するなどやりようはあるはずだ」としていた。
同年12月の返還地の引き渡し時、沖縄森林管理署と防衛局は廃棄物を含む米軍由来の支障除去は防衛局が担うとする協定を締結した。調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表は「(本来は引き渡し前に支障除去されているべき跡地で)引き渡し後は作業がないはずだが、それが完了していないために協定を結び処理した。当時は締結を公表もせず(除去が)完了したふりをしていた」と指摘。
環境省が世界自然遺産登録に向けた作業を進めていた時期と重なり、「世界自然遺産登録に向けた作業を急ぐあまり、跡地の支障除去に無理が生じていた」と分析した。
(慶田城七瀬)