沖縄県内で譲渡可能な犬の殺処分数が2023年度、「ゼロ」になる見通しとなった。犬の殺処分は「実質ゼロ」になり統計開始以来初めてとなる。
かつて殺処分数が全国ワーストの時代もあったが、「命どぅ宝が動物愛護にも実践できる社会の実現」を目指す県の方針と、民間ボランティアの協力で改善につながった。
県内で犬の収容・譲渡・殺処分を担う4機関(県動物愛護管理センター、那覇市環境衛生課、宮古保健所、八重山保健所)に本紙が1日、23年度の速報値を確認した。
那覇市環境衛生課と宮古保健所では、殺処分した犬はゼロ。県センターと八重山保健所では、治癒の見込みのない病気や攻撃性があるため「譲渡不適切」と判断された犬を殺処分したが、譲渡可能な犬の殺処分はゼロだった。
玉城デニー知事が18年の知事選で犬猫の「殺処分廃止」を掲げた。これを受けて、県が21年にまとめた「県動物愛護管理推進計画」では、「命どぅ宝が動物愛護にも実践できる社会の実現」や、30年度までに「譲渡可能な個体は殺処分ゼロにする」という目標を盛り込み、対策を進めてきた。
4機関の担当者が「殺処分ゼロ」の要因の一つとして口をそろえるのが、ボランティア団体の協力だ。飼い主探しの大半を担っているからだ。その一つNPO法人・ワン’sパートナーの会の比嘉秀夫理事長は「正直なところ『やっと感』が真っ先にくるが、ゼロ継続に向けて県内外団体と連携し合い活動したい」とコメントした。
県内の犬の収容数は減少傾向にある。那覇市環境衛生課の担当者は「近年、動物愛護への関心や飼い主の意識の高まりで放し飼いなども減っている」と話した。
(南彰)