次世代に、沖縄の先祖に誇りを持ってもらおうと、沖縄の女性がかつて手に彫っていた入れ墨「針突(ハジチ)」を施す米在住のウチナーンチュ約30人がこのほど、ハワイに集結した。
イベント主催者で、県系2世のミドルトン真理子さん(37)は「ここ100年で最大のハジチ関係者の集まりかもしれない。これがハジチ復興運動の最初の波だ」と話し、大会の成功を喜んだ。
ミドルトンさんは米東海岸のバーモント州で育った。母は佐敷(現南城市)出身で、さらにさかのぼると那覇市首里にもルーツがある。
小学生の頃、米海軍士官だった父の仕事で沖縄に3年間滞在した。ミドルトンさんは「親の仕事で小さい頃、3~5年ごとに引っ越しをしていた。長い友達やコミュニティーを作れず、土地に帰属意識を持つことも難しかった」と振り返る。
幼い頃から、自分の居場所を探せず、どこにもなじめなかったため「たとえ距離が離れていても、一体感を得ることができるようなコミュニティーで他の人たちと出会いたい」と述べる。
バーモント州に県系人はほとんど住んでいないため、数年前から県系人とのつながりをオンラインで始めた。
同時期に首里スタイルの「ハジチ」を入れることも決心し、「ハジチは私と母、そして母の先祖たちを結びつけている。(ハジチは)誇り高く恥じることのないアイデンティティーの表明だ」と強調する。
一方、かつて明治政府がハジチと入れ墨を禁じたことも知り、「だからこそ地域社会がこの美しく神聖な伝統を活性化し、祝うことが非常に重要だ」とし、3月下旬にハワイで開催された「琉球アイデンティティー会議」と合わせてハジチの集いを企画した。
全米各地や沖縄から県系人約30人が駆けつけ、うち26人が「ハジチ」を入れていた。
ミドルトンさんは「次世代に、(沖縄が)植民地化される以前の独立した歴史と、沖縄に先祖を持つことの意味を知ってもらいたい。先祖に誇りを持ってもらいたい」と願った。
(呉俐君)