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理解者なく 立候補に壁 有志ら「声上げ、選挙に興味を」 女性議員 増えない理由は 沖縄県議選


理解者なく 立候補に壁 有志ら「声上げ、選挙に興味を」 女性議員 増えない理由は 沖縄県議選 オスプレイの飛行再開に抗議し、配備の撤回などを求める決議と意見書を全会一致で可決した県議会議員ら=28日午後、県議会議場
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 地域の男女平等度を政治、行政、教育、経済の4分野で分析する「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」で、沖縄は特に政治分野の順位が低く2024年度は28位にとどまっている。政治分野への女性進出は進んでいない。6月16日投開票の県議選を控え、現状を変え女性の声を政治に反映させようと、有志らによる女性の立候補予定者らを集めた集会やインタビュー音声配信の収録が続いている。立候補予定者らは、普段の生活で問題に感じていることに声を上げる大切さや、立候補までに立ちはだかる壁を次々と口にした。

 「『(子どもが)まだ小さいから次でいいんじゃないか』という話しもあった」―。5月中旬、那覇市の飲食店で開かれた集会で、ある候補者が吐露した。

 立候補を予定するある県議は、22年の統一地方選の際、市町村議会への女性の立候補者擁立に奔走した経験を振り返り「(擁立が決まるまでに)10倍くらいの人に断られた」と明かした。その理由としてパートナーの理解が得られなかったり、親戚に反対されたりすることがあったという。

 本紙が5月に立候補予定者72人に実施したアンケートでは、議員の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入について、「どちらでもない」と無回答を除き過半数の37人(53・6%)が「賛成」と回答する一方、「反対」は26人(37・7%)で約4割いた。理由として「性別による枠を設けることが法の下の平等に反する」との意見もあった。

 一方、集会で立候補予定者は「女性が参政しやすい状況を議会でつくっていくのも大事な取り組みだ。数は力。だからこそ女性が増えることが必要だ」と力を込めた。

 集会を企画した那覇市議の糸数貴子議員は「(議員が)男性だからだめという訳でもない」と前置きしつつ「それでも女性が政治の場にあまりにも少ない。(男性と)同じように政治に参加する機会をつくっていきたい」と語った。

 県議選立候補予定者の性別内訳(3日時点)は、男性が61人(82・4%)、女性が13人(17・6%)。女性県議は2020年の前回選の当選者7人が過去最多で、増減も注目される。一方、立候補予定者13人が全員当選しても、女性議員の少ない状態は変わらない。

 候補者を増やすことが困難な状況の中で、女性の有権者に政治参加を促す取り組みもある。ネット音声配信「うないラジオ」を運営する女性有志「フェミブリッジ沖縄」は、女性の立候補予定者へのインタビューを収録し、順次公開している。

 30~50代の女性たちに向けて、交流サイト(SNS)で投票を呼びかけ、投票率向上を目指す。今後は街頭活動も行う予定だ。事務局の高岡直子さん(53)は「政治は男性の世界という構図を少しでも変えられるよう、選挙に興味を持ってもらいたい」と語った。

 (嶋岡すみれ、慶田城七瀬)

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