公営住宅の入居困難 ひとり親4割以上が希望も倍率高く<2023年度沖縄子ども調査>


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 県が6日に公表した2023年度の「沖縄子ども調査(0~17歳)報告書」。コロナ禍の影響を受けた21年度の調査に比べて世帯の収入は増加した。しかし、保護者を対象にした今回の調査結果は、収入にかかわらず生活の苦しさが増したことを鮮明に映す。物価高騰が低所得層の生活を痛撃する一方、所得制限で支援から漏れた世帯からも窮状を訴える悲鳴が上がる。子どもの暮らしは守られるのか。調査結果の概要を紹介する。(前森智香子、嶋岡すみれ、宮沢之祐)

公営住宅への入居、離島地域で特に困難

 公営住宅以外に住んでいる人に、公営住宅への入居希望を尋ねたところ一般層は「希望する(応募経験あり)」が2・9%、「希望する(応募経験なし)」が6・2%であるのに対し、低所得層Iではそれぞれ18・9%、20・5%と高かった。低所得層Iでは応募経験がある世帯が多く、公営住宅への入居の難しさがうかがえる。

 ふたり親世帯とひとり親世帯を比較すると、ひとり親世帯の入居希望が高く、4割以上が入居を希望している。さらに、ひとり親世帯では2割以上が落選を経験していることも分かった。

 圏域別に見ると、宮古・石垣圏域の「希望する(応募経験あり)」は14・9%で、北部の4・9%、中部の6・6%、南部の6・7%と比べて2倍以上高く、離島地域での公営住宅への入居が困難になっている。

 報告書では「住宅問題は所得状況を反映しやすい分野で、沖縄県は公営住宅の充実や家賃補助といった施策をさらに充実させる必要がある」と指摘している。

親しく近所付き合い2割 本島中南部で低く

 近所付き合いについて「とても親しく付き合っている」「親しく付き合っている」との回答は全体の約2割にとどまり、子育て世帯と地域とのつながりが希薄化していることが明らかになった。

 圏域別に見ると、明確な差が現れた。「とても親しく付き合っている」「親しく付き合っている」の割合は、北部圏域と宮古・石垣圏域で高くなっており、いずれも3割を超えた。中部圏域と南部圏域は2割を切っており、「ほとんど、もしくは全く付き合っていない」が4割超だった。

 乳幼児を育てている世帯では「ほとんど、もしくは全く付き合っていない」割合が4割を超え、小中高校生がいる世帯よりも近所付き合いが薄い傾向にあった。また、市部・町村部に分けてみると、市部では低所得層ほど近所付き合いの程度が少なかった。乳幼児のいる世帯に加え、市部に住む低所得層も配慮が必要だとうかがえる。


<年収区分の目安>

報告書では、経済状況による影響を分析するため世帯の困窮程度を、低所得層I、同II、一般層の三つに分類している。4人世帯の場合の年収で見ると、低所得層I=260万円未満▽低所得層II=260万円~390万円未満▽一般層=390万円以上。