遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表が23日の沖縄全戦没者追悼式に合わせ、DNA鑑定の申請を呼びかけるテント設置を求めていた件で、県が設置を認める条件としてハンガーストライキや座り込み、集会、署名活動などを行わないよう求めたことが7日、分かった。県保護・援護課は「式典の安全確保と静かな環境を守るため、危険を排除する必要がある」と説明。具志堅さんは「表現の自由の侵害だ。警備が行き過ぎている」と集会の自由の保障を求めた。
具志堅さんは6月23日に糸満市の平和祈念公園で、遺族にDNA鑑定申請を呼びかけてきた。しかし安倍晋三元首相の銃撃事件などの後に警備が厳格化し、昨年からテント設置が認められなくなっていた。
県は7日、テント設置の条件と設置場所を示した。条件として使用目的外の活動をしないこととし、例としてハンストや座り込みなどを挙げた。のぼりや横断幕も掲げてはならず、違反すれば撤去を求めるとした。設置は通路に近い例年の場所ではなく、管理棟に近い木に囲まれた場所を指定した。
具志堅さんは「遺骨が混じる南部土砂の、辺野古新基地への使用に反対し、戦没者遺骨の尊厳を守ると訴えることがなぜ危険なのか。県が見ているのは県民ではなく、政府ではないか。誰のための追悼式か」と述べた。沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは「『静かな環境』とは外部環境だが、県がしているのは内容の検閲だ」と指摘した。
(中村万里子)