米兵による性的暴行事件の続発を受けた緊急抗議集会で、大学院生の島袋里穂さん(28)=うるま市=がマイクを握り「もううんざりと叫びたくなる」と憤りをあらわにした。現在、フィンランドのトゥルク大学大学院でジェンダー学を学ぶ。6月に帰国して事件のニュースを聞き、抗議集会へ足を運んだ。
集会での登壇のオファーがあった時は「集会の度に被害者がつらい記憶を思い出すことになり、苦しみを再生産してしまうのでは」と引き受けるか迷った。だが、同世代やさらに若い女性への性暴力が繰り返される現状に「黙ってはいられない」とマイクを握った。
大学院では、米軍基地に関する性暴力や、沖縄の女性が日本のメディアでどのように描かれているのかなどを研究している。沖縄キリスト教学院大学時代に、沖縄の女性が置かれた現状や人権が軽視されてきた歴史などを学んだ。30代女性首相が誕生するなどジェンダー格差への取り組みが革新的なフィンランドに進学した。卒業後は性暴力被害者の支援に携わる考えだ。
スピーチでは、過去の政治家や米軍関係者から女性を軽視した発言が出ていることに触れ、「1995年の事件から彼らの人権の意識は変わっていない」と指摘した。
沖縄の家父長制の社会にも問題があるとし、「米軍関連かどうかに関わらず、性暴力が報道されづらい。プライバシーを守ることは重要だが、被害に遭ったことが恥ずかしいという風潮を改めないといけない」と話すと、会場から拍手が湧いた。
島袋さんは性暴力の責任は100%加害者にあり、声を上げられずに苦しんでいる被害者が多くいると訴えた。「女性の安全保障は人権問題であるということが、どの立場の人でも当たり前の共通認識になることを願う」と力強く締めくくった。
(中村優希)