prime

【スピーチ全文・音声あり】「声上げられない被害者も」 大学院生「勇気と覚悟」の登壇 米兵暴行続発、那覇で集会


【スピーチ全文・音声あり】「声上げられない被害者も」 大学院生「勇気と覚悟」の登壇 米兵暴行続発、那覇で集会 緊急抗議集会でメーセージを掲げて登壇者の訴えに耳を傾ける参加者=4日、那覇市泉崎の県民広場(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米兵による性的暴行事件の続発と辺野古新基地建設に使う土砂搬出の抗議現場で起きた死傷事故を受けて、4日に開かれた「人権と命について考える緊急抗議集会」に登壇した大学院生の島袋里穂さんのスピーチ全文は下記の通り。

まず初めに、最近の2件の性暴力事件を知って、とてもショックで傷ついています。私と同年代の女性や、それよりもずっと若い、小さな女の子たちがどれだけ怖い思いをしたのだろうと想像すると、とてもやりきれない気持ちになります。

正直、まだすごく動揺していて、自分の怒りや悲しみをどのように処理していいか、そしてどのように言語化するべきかわかりません。既に新聞などでも取り上げられていますが、どうしても1995年の暴行事件を思い出さずにはいられません。

私は96年生まれなので、もちろん当時の記憶はありませんが。大学時代に文献などを読み、事件のことを知った世代です。1995年の事件で、3人の加害者の兵士たちはレンタカーを借りて暴行しました。当時の軍のトップは、そのことにふれて「レンタカーを借りるお金があるなら売春婦を雇えば良かったのに」と発言し、辞職に追い込まれました。

また最近では、2013年に有名なある大阪市長が普天間基地を訪問した際に、米軍の司令官に対し、「ぜひ風俗を活用して兵士たちの性的なエネルギーもコントロールしてください」と発言し、物議を醸しました。

こういった発言は、国家レベルの階級主義的な暴力を妥当なものであるとみなし、性暴力を防止することも、それから身を守ることも女性の責任であるといった誤った認識を広め、非常に危険です。

このような政治関係者や軍関係者らの発言は、彼らが女性の人権をどれだけ軽視してきたかを示す多くの証拠の一つであり、さらに95年当時も2024年の今も大きく、彼らの人権に関する意識は大きく変わっていないことがよくわかります。

このような国家レベルの組織的暴力の存在は、これまで何度も指摘されてきましたが、もっと根本にあるのが、沖縄の家父長制的社会だと私は思っています。米軍関連かどうかに関わらず、性暴力は報道されづらい現状にあります。

もちろん被害者のプライバシーを守ることは重要ですが、被害に遭ったことは恥ずかしいことだという認識や、被害者を責めるような風潮を改めなければいけません。それにより、彼女たちが声を上げづらい状況に陥っていきます。

私達1人1人が社会に属するメンバーです。今回、学生時代の友人から声をかけてもらってここでお話することになりました。しかし、正直、引き受けてもいいかどうか迷いました。なぜならこういう事件が起こるたびに、このような集会が起こるたびに、被害者の方はもう一度つらい記憶を思い出して、苦しむことになります。


大学院生の島袋里穂さんスピーチ音声

その苦しみを再生産することに貢献してしまうのではないかという懸念がありオファーを受けてもいいかどうか迷いました。しかし、被害に遭っているのは、私と同年代の女性たちです。それからずっと若い小さな女の子たちです。

もううんざり、「Enough is enough!」と大きな声で叫びたくなります。声を上げたいけれど上げられない被害者や支援者の方もいます。性暴力は被害者の心に大きなダメージを与えます。また、そのダメージは被害を受けたことがない人が想像できないぐらいずっと長く続きます。

今回は、学生代表というわけでお話させていただきましたが、私は若者全ての代表者だとは思っていません。また、もっと重要なのは、私は被害者の声を代弁しにここに来たのではないということです。

勇気を出して警察に通報した被害者と支援者の方へ。怖い思いをしながらも行動してくださってありがとうございます。

今または過去に被害に遭ってつらい思いをしている方へ。あなたは決して悪くありません。

どんなことをしていても、していなくても、性暴力の責任は全て100%加害者にあります。そして、声を上げられずに黙っていることを悪く思わないでください。話したくなければ話さなくても大丈夫です。ですが、もし話したければ、私はそばにいます。

そして、同じような苦しい経験をしたサバイバーがあなたの近くにもいるということを、どうか覚えておいてください。

それから最後に味方になりたいと思っている皆さんへ。大事な人に、もし被害を打ち明けられたら、真剣に聞いてあげてください。

それから、静かに苦しんでいる被害者もいます。彼女たちに声を上げることを求めないでください。ただ、どのような支援が必要か聞いて、そばにいてあげてください。

若い1人の女性として、今日ここに立って性暴力に抗議するスピーチをすることは相当な勇気と覚悟が必要です。

皆さんのサポートが必要です。私は現在学生で、性暴力に遭った女性たちの支援者になるために学んでいる途中です。まだまだ頼りない部分もありますが、既に先頭で活動されている先輩方に教わりながら、私にできることを一つずつ始めていきたいと思います。

いろいろな立場や考えもあると思いますが、女性の安全保障は人権問題であるということが、どの立場の人にとっても共通で、当たり前の認識になることを願います。ありがとうございました。