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「ジャパン」の誇り、選手と頂へ パリ五輪陸上ヘッドトレーナー 沖縄・石垣島出身の砂川さん「最後のひと押しを」


「ジャパン」の誇り、選手と頂へ パリ五輪陸上ヘッドトレーナー 沖縄・石垣島出身の砂川さん「最後のひと押しを」 陸上のヘッドトレーナーについた石垣島出身の砂川祐輝さん=7月31日、パリのオリンピック選手村
この記事を書いた人 Avatar photo 古川 峻

 金メダル最有力と期待される女子やり投げの北口榛花選手など、多くの注目選手が出場するパリ五輪の陸上競技が1日から始まった。日本代表は、自国開催を除いて五輪では過去最多の55人が出場する。

 今大会、陸上の「ヘッドトレーナー」として選手の体の状態を調整するのが石垣島出身の砂川祐輝さん(40)=東京都=だ。「オリンピックで選手と一緒に戦うのが夢だった。最後の背中を一押ししたい」。世界最高峰の舞台で、選手の最高のパフォーマンスを引き出すことを誓う。

 競技前後の選手にマッサージやアイシング、鍼灸(しんきゅう)などを行うのがトレーナーの主な仕事だ。陸上選手は体の違和感を微細に感じるため、その場でどの施術が最適なのか即座に判断することが求められる。「選手とのあうんの呼吸が大切になる」と語る。

最高峰の舞台へ、意気込む砂川祐輝さん

 大浜中学時代まで野球部だったが、100メートルで当時の校内記録を打ち立てた。引退後に中体連大会の陸上選手に選ばれ、同種目で優勝。八重山高校に進学後は陸上に専念し、将来はスポーツ関係の仕事に携わりたいと思うようになったという。

 国際武道大3年時の経験が原点にある。トレーナーとして駆け出しの頃で、自らケアした選手が目の前で肉離れを起こした。「今でも忘れられない大きな失敗だった」。どんな小さな感覚も見逃さないことを心に決めた。

 大学卒業後は東京都内の整骨院グループで修行を積んだ。2009年に院長が世界陸上選手権の代表になり「かっこいい」と憧れた。4年後、世界選手権に初めて赴き、これまで計5度この舞台を経験した。

 最高峰の五輪は東京大会で2番手のトレーナーとして携わったが、「チームジャパン」のユニホームに袖は通していなかった。今回は5人のトレーナーのまとめ役になった。「この服を着た人だけが競技場に入り、選手をぎりぎりまでサポートできる。やりがいと責任を感じる」と誇らしげに語った。

(古川峻)