那覇市識名の市営識名霊園や周辺の墓地で、墓に置かれた花瓶や茶わんなどの仏具が数多く破損していることが8日、分かった。市環境保全課などによると破損は2023年から目立ち始め、同年7月末に調査したところ742基のうち128基で仏具の破損が確認された。今年も同様の状況が続いており、市側は那覇署に情報提供して対応しているという。
破損した仏具は花瓶が多く、ばらばらになった物もあった。同霊園内にある墓の管理は個人に委ねられているため、霊園の職員は片付けられないという。県内は16日から旧盆を迎える。園内の清掃作業にあたる男性は「旧盆の墓参りで割れた仏具を見たらショックだろう」と語った。
読者からの情報提供により本紙記者が現場を確認したところ、霊園に隣接する墓地でも仏具の破損が十数基ほど確認された。墓を掃除していた男性は「花瓶も茶わんも全部ない。取る人がいるのかね」と語った。
総合石材メーカーの沖縄関ヶ原石材の担当者によると、強風で仏具が落ちて割れるのを防ぐため、20~30年前の製品から香炉に花瓶や茶わんを置く穴が設けられている。ただ、強い台風だと花瓶が浮いて落ちることもあるほか、最近はカラスが茶わんを落として割る事例もあるという。
一方で、同霊園によるとたたいて割られたような花瓶もあったという。担当者は「壊されないように仏具を持ち帰る利用者もいる。早く原因が究明されてほしい」と語った。
(嘉陽拓也)