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「ここは歩道だ」響く怒号 警備員が「人のバリケード」、市民の牛歩阻む 安和で土砂搬出再開 沖縄 


「ここは歩道だ」響く怒号 警備員が「人のバリケード」、市民の牛歩阻む 安和で土砂搬出再開 沖縄  ネットを広げて「バリケード」をつくる警備員ら=22日午前7時18分、名護市安和(ジャン松元撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄防衛局が安和桟橋からの土砂搬出を再開した20日、辺野古の海を埋め立てるための土砂を積んだダンプカーは午前中から桟橋に次々と入った。強い日差しが照りつける中、桟橋に2カ所ある出入り口付近では搬出再開に反対する市民らの怒声やシュプレヒコールが飛び交い、これまでの牛歩による静かな抗議とは様変わりした光景が広がった。 

 午前7時前、双方の出入り口からオレンジ色のネットを持った警備員が30人ほど現れた。出入り口の左右に「人のバリケード」を作ると、市民の一部が「ここは歩道だ」と警備員や県警の機動隊員らに詰め寄った。入り口では市民の一人が「県民への弾圧だ。意地を見せましょう」と訴え、車両乗入部にいた約40人が牛歩を続けた。

 同7時45分ごろ、県警の機動隊員が「繰り返しの横断、低速歩行は業務妨害に抵触する恐れがある」と警告。入り口で牛歩する市民をつかんで排除を始めた。排除開始から約5分後、第1弾のダンプカー30台が抗議する市民を横目に桟橋へ入り、土砂を下ろした。「ささやかな牛歩まで認めない。一体いつまで閉鎖するんだ」と怒りの声が上がる中、車両乗入部の通行制限は約40分間続いた。

桟橋入口前で歩いて抗議する市民を排除する機動隊員ら=22日午前7時47分、名護市安和(喜瀨守昭撮影)

 出口では「危険なので工事車両に近づかないでください」と口をそろえて呼びかける警備員と、「工事再開を許さない」と訴える市民の声が交錯する中、ダンプが警備員の誘導で1台ずつ国道に出た。出口脇の歩道へ市民を排除する機動隊員に、「事故原因を明らかにしなさい」と市民が詰め寄る場面もあった。

 長年、安和の抗議活動に参加している西浦昭英さんは「原因がはっきりしない中での再開は拙速だ」とため息をつき、従来通りの抗議を今後も続ける決意を示した。6月の事故で亡くなった警備員の男性に手を合わせるため、うるま市から訪れた女性(71)は「新基地建設に反対する人もダンプカーの運転手も1人一つの命だ」と語り、「国はいつまで辺野古や沖縄に基地を押しつけるのか」と悔しさをにじませた。

 土砂搬入は午後8時まで続き、7人ほどの市民が残って抗議した。同7時半ごろには機動隊員の不在を理由に、桟橋から出るダンプカーが20分ほど足止めされた。ダンプカーの運転手を早く自宅に帰したい良心から、いち早く警備員の指示に従った市民からは疑問の声が上がった。

(武井悠、南彰、名嘉一心、狩俣悠喜)