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【比較表】「市民の安全、生活一番に」 騒音やPFAS、日常に影 沖縄<争点・宜野湾市長選9・8>上


【比較表】「市民の安全、生活一番に」 騒音やPFAS、日常に影 沖縄<争点・宜野湾市長選9・8>上 自宅上空の米軍機の飛行ルートを指しながら「騒音がひどい」と話す山田真由美さん=8月28日、宜野湾市我如古
この記事を書いた人 Avatar photo 金盛 文香

 「子どもが成人する時、どうなっているんだろう」。宜野湾市我如古で2人の子育てをする山田真由美さん(49)は、楽しみであるはずの子の未来への不安を語った。合意から28年が経過してもなお、返還が実現されない普天間飛行場。事故・事件への不安や騒音の激化、有機フッ素化合物(PFAS)の汚染など、市民の生活に影を落とし続ける。水道代や渋滞など基地あるが故に強いられる生活の負担も。「市民の生活をもっと見てほしい」。未来を思い票を投じる。

 山田さんは市内の保育園と小学校に通う、5歳と6歳の息子を育てる。紅型作家でもあり、自宅に工房をかねる。「多い時には、5分に1回くらい」の騒音がある。「オスプレイが一番多い。ドドド、という音がする」。仕事中に集中が切れ、はかどらない時もある。子どもが寝静まる午前2時ごろも「エンジンやプロペラの音が聞こえる」と夜間の騒音もひどい。

 県によると、市内の騒音発生回数は2021年8月~22年7月は6万2284回、22年8月~23年7月は5万6987回、23年8月~24年7月は7万5387回だった。午後10時から午前7時までの夜間・早朝の騒音回数は、21年8月~22年7月が2055回、22年8月~23年7月は2290回、23年8月~24年7月は4093回と、直近1年間はそれ以前の2年間と比べ激増している。

 騒音がひどいため、比較的涼しい日でも窓を開けられず、冷房を入れざるを得ない。PFAS汚染への不安から、飲料水のみならず生活用水にも浄水機能をつける。電気代、水道代もかさみ「負担を強いられている」という怒りも湧く。

 市内の中心に普天間飛行場があり、周辺の渋滞もひどい。「市民の生活は置き去りにされている」という思いが消えない。ただでさえ負担が多い中での辺野古移設は「自然も壊すし、お金がかかりすぎる」と負担が上積みされる感覚だ。

 9月8日投開票の宜野湾市長選では、辺野古新基地については賛否が分かれるものの、立候補者は一日も早い普天間飛行場の返還を掲げている。「市民の安全、生活を一番にしてほしい。(普天間飛行場の)閉鎖に向けて段階的に動いてほしい」と生活の改善のため、具体的な行動を求めた。 (金盛文香)



 8日投開票の宜野湾市長選に向け、基地問題や跡地利用、子どもの貧困といったまちの課題を紹介する。