名護市辺野古で新基地建設を進める沖縄防衛局が、死傷事故が起きた同市の安和桟橋から土砂の搬出を再開してから5日で2週間となった。事故原因の究明は進んでいないが、防衛局は再開初日の3倍以上のダンプカーを入れている。事故前を上回る水準だ。県も防衛局への指導に消極的で、市民の抗議活動封じが進んでいる。
桟橋では5日も午前7時ごろから午後8時前まで土砂を積んだダンプカーの出入りが続いた。新基地建設に反対する市民たちが交代で牛歩を行ったが、防衛局側はネットフェンスを持った民間警備員による「人のバリケード」で歩道の封鎖を繰り返した。
市民側は「警備員は個人・団体の正当な活動に干渉してはならない」という警備業法の規定を掲示し不当性を訴えているが、民間警備員による封鎖が常態化している。
桟橋内に入るダンプカーを1台でも少なくしようと、車で出入り口付近を徐行し、抗議活動をする男性もいる。男性によると、牛歩が制限される中、一般車両に影響しないように注意しながら復活させたといい、「違法な工事に対し、違法ではない方法で安全第一に抗議したい」と話した。
防衛局が使用再開した8月22日に搬入されたダンプカーは255台だった。1週間後から急速に増え、4日は934台、5日は956台に上った。6月の死傷事故前の約600台を上回る。市民によると、2時間近く歩行制限することもあるといい、「使用中断が続く本部港塩川地区と合わせた量を安和から搬出しようとしているのではないか」とみる。
市民側は、現場の道路管理者である県に防衛局への指導を求めている。しかし、3日に行われた県土木建築部と沖縄平和市民連絡会の協議では、県側は消極的な回答を重ねた。市民からは「車優先で、歩くことができないやり方は問題だ。道路管理者としてきちんと指導すべきだ」「県は現場の状況を確認すべきだ」と不満の声が出ている。
(南彰、武井悠)