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竹かご、稲穂のほうき…やんばるの知恵を次代に 島袋正敏さんの技「調査隊」記録 沖縄・名護


竹かご、稲穂のほうき…やんばるの知恵を次代に 島袋正敏さんの技「調査隊」記録 沖縄・名護 竹かごの材料を作る仲間あずみさん(左)と島袋正敏さん=名護市天仁屋
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 やんばるで生まれ育ち、名護博物館の初代館長を務めた島袋正敏(まさとし)さん(80)=名護市=が少年時代に培った暮らしの知恵や技を記録に残そうと、有志の女性らでつくった「島で生きるチカラ調査隊」が映像作品の制作を続けている。5年間で25作品が完成し、YouTubeで公開している。

 島袋さんは久志村底仁屋(現・名護市)生まれ。「仕事の中に遊びがあった」と振り返る。子どもは、まきを取り、ヤギや馬を世話しつつ、木の実を食べ、木の枝で作ったパチンコで鳥を捕った。道具作りも大人の手仕事を見て覚えた。

 調査隊の代表、仲間あずみさん(51)=宜野湾市=は2018年、島袋さんが教える「バーキー(竹かご)教室」に参加した。竹やぶで採った竹を使う制作作業を通し、生きるための知恵「じんぶん」に感動した。

少年時代の暮らしを地図で説明する島袋正敏さん(中央)を撮影する仲間あずみさん(左)ら=8月12日、名護市屋部

 「一人だけ知るのはもったいない。次の世代に伝えたい」。旧知の長田元子さん(53)、日垣美砂子さん(53)と共に調査隊を設立して19年から撮影を開始。学習院大学の助成を得て、教材として使いやすいように10~15分の作品に編集した。

 マーニ(和名・クロツグ)の葉を使ってエビを釣ったり、稲穂のほうきを作ったり。「プラスチック商品を大量生産、大量消費、大量廃棄する悪循環を身近から少しずつ変えたい」と島袋さん。自然の恵みを生かす「循環」の意義を語る。

 仲間さんは映像の意外な効用にも気づいた。福祉施設で見てもらうと、縄を編む場面で、多くの高齢者が一緒に手を動かし始めた。「昔の経験を語り始めて話が弾んだ。よい刺激になった」

 仲間さんたちは親しみを込め、島袋さんを「せーびんさん」と呼ぶ。最新作「昔うちなー旧盆飾り」では、せーびんさんが、あっという間に木に登り、枝を取る場面も。作品制作は続く。動画はURLから

https://www.youtube.com/@user-vm9qc1rs1t

 (宮沢之祐)