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義眼のモデルをパリコレへ、沖縄からも支援 那覇市の高良さん「琉球の布地を世界へ」


義眼のモデルをパリコレへ、沖縄からも支援 那覇市の高良さん「琉球の布地を世界へ」 パリコレチャレンジへの支援協力を呼びかける高良友之介さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 左目が義眼で右目も失明の懸念があるファッションモデルの富田安紀子さん=東京都=がフランスで開かれるパリ・コレクションに出演するのを支援しようと、那覇市のパーソナルトレーナーの高良友之介さん(38)=那覇市=が奔走している。

 富田さんを送り出すためのクラウドファンディングを実施、衣装には沖縄の伝統的な生地を使ってもらうことが決まった。高良さんは「慣れないことの連続で大変だったが、琉球の伝統的な生地でパリコレに挑戦することは、琉球沖縄の文化を世界に発信していくチャンスだ」と語る。富田さんが出演するパリコレは9月末から開催される。

 高良さんは2023年、国連の世界平和デー(9月21日)に呼応して和服などを着て平和を呼びかける活動「平和祭り」を通し、プロデューサーでSDGsモデルの星咲英玲奈さんと出会った。

 星咲さんは過去に、人生に打ちひしがれて岐路に立った時、沖縄を訪れ、人の温かさ、家族のように助け合う姿に本来人間のあるべき姿を見て生きる力をもらったという。その恩返しをしたいと、沖縄の環境・文化保護のためのさまざまなボランティア活動に取り組んでいる。

 星咲さんは、ダウン症モデルのパリコレ出場の挑戦をプロデュースしたJAPAN TIARAの高森雄登さんと共に、障がいの有無などを超えて個性を表現する取り組み「ユニバーサルランウェイ」を立ち上げた。2人はパリコレ出演の候補者を検討する中、義眼モデルの富田さんと出会ったという。「右目が見えなくなる前に、世界にチャレンジしたい」という富田さんの願いをかなえるために今回、ユニバーサルランウェイのモデルを富田さんに決定した。

 同時に、高良さん、星咲さん、高森さんはパリコレの衣装に、沖縄の伝統的な生地を使うことを決めた。「琉球の布地を世界に発信しよう」と動きだした。たくさんの工房、販売店を回り、パリコレのランウェイのムードに負けない生地・柄を探した。

 その中から、三線や琉球舞踊の衣装などを製造・販売する津波三味線店(うるま市)が格安で生地を提供、高良さんが必要な資金を全額寄付する形で生地が選ばれた。

 高良さんは「愛する沖縄の未来のためにしている」と話す。「沖縄を愛する人とのつながりから、富田さんのパリコレ出演の夢を実現するプロジェクトへ協力することになった。真心を持って人とつながると夢はかなう。今後もこのような活動を続けていきたい」

 富田さんの夢の実現を支援するクラウドファンディングが立ち上がっている。CAMPFIRE(キャンプファイア)ウェブサイトから「富田安紀子」で検索すると、パリコレチャレンジのページに飛ぶ。締め切りは30日。

 (喜屋武幸弘通信員)