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【識者談話】軍港と観光、両立は困難 那覇軍港の浦添移設 佐藤学氏(沖国大教授)


【識者談話】軍港と観光、両立は困難 那覇軍港の浦添移設 佐藤学氏(沖国大教授) 佐藤 学氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 那覇軍港の浦添移設を巡っては、那覇市長時代に関わった翁長雄志前知事、玉城デニー知事が容認し、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄会議」も政治的に手をつけないできた。反対を掲げて当選した浦添市の松本哲治市長も賛成に転じた。2021年の市長選で松本氏が反対派の候補を大差で破り、選挙という意味では「かたがついた」と言われても仕方がない状況だった。

 しかし、今回の調査で、浦添市民の多くが軍港移設に納得していないことがはっきりした。諦めたわけではないことを確認できた意味がある。

 環境への影響を懸念する声が多かったのは、パルコシティができて、市民がきれいな海を知ったことが大きい。沖縄では埋め立てがなりわいになり「きれいな海を残そう」という側が負けてきた。しかし、開発すれば人が来るわけではない現実も見えてきている。

 特に軍港と観光開発を両立するのは難しい。普通に考えて、浦添に軍港を移せば、返還予定のキャンプ・キンザーも居座るのではないか。難しい状況だが「都市部に残る、最後のサンゴの海を残そう」と、オール沖縄を超えたところから活動を展開していく必要がある。

 (政治学)