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【記者ノート】政治の停滞と市民の萌芽 南彰記者(編集委員、暮らし報道グループ)<歩く民主主義 100の声>


【記者ノート】政治の停滞と市民の萌芽 南彰記者(編集委員、暮らし報道グループ)<歩く民主主義 100の声> 南彰
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「ああ、話してすっきりした」

 旧盆前のうだるような暑さ。その路上で行った今回の調査で、何人かに言われた言葉だ。

 環境悪化や軍事への懸念、県内での基地たらい回しへの不満…。国・県・市が過去のしがらみに絡め取られ、「軍民共存」という街の将来像に対する市民の疑問や違和感に向き合えていない政治の目詰まりを感じた。

 とくに今回、意外な傾向を示したのは50代だ。

 これまでの「100の声」調査では、政府の方針や規制に理解を示す人が多い傾向にあったが、今回は7割以上が「軍港移設反対」と答えた。辺野古新基地建設について話を振ると、「埋め立てが始まっていて、反対する意味がわからない」と懐疑的な回答をするのに、軍港移設には「今ならまだ止められる」と考えている人が目立った。

 西海岸道路ができて、貴重な自然環境が身近になり、若い世代にも保全意識が広がっている。しがらみを乗り越え、環境を軸にした街の将来像を議論し、つくりあげることができるか。浦添にはその芽が育っている。