prime

沖縄初上陸、コストコ開店 にぎわいと深刻な渋滞、地域へのひずみ 記者が追う「影響」<取材ノート 新聞週間2024>(下)


沖縄初上陸、コストコ開店 にぎわいと深刻な渋滞、地域へのひずみ 記者が追う「影響」<取材ノート 新聞週間2024>(下) 大勢の買い物客らが詰めかける店内=8月24日午前7時58分、南城市玉城のコストコ沖縄南城倉庫店(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 沖縄でも本当に大勢の客が押し寄せるだろうか。初めて県内に進出する米国系会員制スーパー「コストコ」の8月24日の開業を前に、気持ちは半信半疑だった。県外での前例を踏まえて、スタッフから「オープン日に取材するなら午前5時前には来ておいたほうがいいですよ」と言われていたためだ。

 開店前日の8月23日夕刻。事前の会員登録の希望者でにぎわうコストコ沖縄南城倉庫店(南城市)に様子を見に行くと、既に並び始めている人の姿があった。本土から駆け付けた熱狂的なファンだろうかと話を聞いてみると、意外にも先頭から3組目まで県民だった。

 いったん帰宅して24日午前2時過ぎ。ふと目が覚め、コストコの情報交換のため数千人が集うLINEのオープンチャットをのぞくと、駐車場が埋まりそうだという投稿に眠気が吹き飛んだ。渋滞にはまってオープンの瞬間に間に合わないのはまずい。一気に焦り、予定より早めに店舗に向かった。

 盛況ぶりは、「並ばない沖縄県民が並んだ」「コストコ狂騒曲」などの見出しで取り上げた報道の通りだ。夜中から千人を優に超える客が開店を待つ異様な光景があり(コストコ・ホールセールのケン・テリオ日本支社長は「3千人が待っている」と従業員に説明していた)、午前8時の開店時刻は同4時半に前倒しされた。

 小売業売上高が世界3位で圧倒的な資本力を持つ巨大スーパーが進出すれば、経済効果の一方で周辺地域には当然ひずみも生じる。開店による深刻な渋滞や、周辺事業者への影響についても繰り返し本紙で記事化してきた。

 経済の担当記者になって3年目。今年はほかにも「コスパ最強」を打ち出すスーパーのロピアが沖縄に1号店を構えた。県内ではコンビニエンスストアやディスカウントストア、外食チェーンの新規出店も相次ぎ、観光需要のみならず、物価高が続く中でも旺盛な県民の購買意欲を映し出す。

 日銀那覇支店などによる調査では、節約志向や生活防衛の意識はみられるものの個人消費は堅調だ。米統治下の食文化の影響や、所得水準が低くても消費性向が高い県民性は指摘されてきたが、自分なりに納得できる明確な理由は見いだせていない。活況を呈す市場の動向や生活への影響を丁寧に追いたい。

 (當山幸都)