首里城端材と沖縄の手技を復興の一助に。首里織職人でつくるグループ「スイ・ミー」が中心となって、このたび正殿端材のヒノキを使った額縁を作った。中にはスイ・ミーが織った1点物の首里織が納められる。額縁は織機を造る木工職人が手掛け、額縁裏には高校生によるレーザー彫刻が光る。51点全て手作りで、売り上げの一部は首里城復興の費用に充てられる。「首里城のために自身の技術を生かしたい」。携わった人の願いだ。
額縁制作のきっかけは、首里城端材が提供されることをスイ・ミーの與那嶺香奈江さんが知ったことだった。メンバーは火災があった2019年の前後に、那覇伝統織物事業協同組合の育成事業に参加した7人で構成される。これまで、首里の風習「十二支巡り(テラマーイ)」にちなみ首里織の御朱印帳を作るなどしてきた。「端材を使えるのは今だけ。何かできないか」と考え、新たな首里城の一部となる材木で額縁を作り、その中に、伝統の首里織を飾ることで、新旧をつなぐことを思いついた。
織機や木工製品などを制作する「工房たまき」(糸満市)の玉城正昌さんも企画に賛同した。刻印を依頼された沖縄工業高校3年の佐久本悠仁さん、上原映美さん、玉城莉真さんは夏休みを返上して、書体のフォントや大きさを何度も試し、完成させた。
佐久本さんは家族と何度も首里城で遊んだ思い出がある。焼失当時、学校の募金箱には「お小遣いの500円を入れた」記憶があるが「今回はもう少し貢献できるかな」と笑った。上原さんと玉城さんは「首里織がとってもきれい」と精巧な手技に魅了されたようだった。
額縁は組合が11月22日から開催する首里織展で展示販売される。価格は1万円以上を想定し、手間賃などを省いた収益が復興費用に充てられる。
(玉城文)