他県に比べて死亡率の高さが際立つ働き盛り世代の男性に、どうすれば健康づくりに関心を促せるか。県保健医療介護部部長の糸数公さん(58)は、新聞の死亡広告の経年変化を分析し、親より先に亡くなる割合が1985年から30年で倍増したとし、「働き盛り世代が亡くなるとどうなるか、自分ごとと捉えてほしい」と呼びかける。
長寿県だった沖縄だが、平均寿命の全国順位が2020年には男性43位、女性16位に後退し、注目された。しかし、糸数さんは「高齢者が長寿を保つ一方、働き世代の死亡率が高いことが課題」と強調する。県衛生環境研究所によると22年、県内男性20~64歳の年齢調整死亡率は全国で2番目に高い。
糸数さんは、平均寿命が男女とも1位だった最後の年に当たる1985年と、2015年の県内2紙に載った全ての死亡広告を分析。それによると、故人が20~69歳の広告は310件から999件と3倍に増えていた。
そのうち故人の親の名前が載っている広告の割合は、1985年の27・4%から2015年には54・8%に倍増。特に故人が60代の場合、13・6%から37・9%に増えた。
また、喪主が親の広告は1985年にはわずか2・9%だったが、2015年は18・1%に。子(12・8%)よりも多くなった。
今はどうか。本紙の今年7~9月の死亡広告を調べると、69歳以下の故人の広告に親の名前があるのは15年とほぼ同じ54・6%。喪主に占める親の割合はさらに高くなり、22・4%だった。
糸数さんは死亡広告の分析を健康長寿おきなわ復活県民会議などで紹介。15年に死亡広告が載ったのは全死亡者数の37・2%といい、「広告を出せる家庭に限った分析」と断りつつ「家族は働き手を失う。職場や地域の行事の継承にも痛手になる」と話す。県内の男性は高血圧や糖尿病、肝機能異常が目立つ。「まずは肥満の改善を」と提言している。
(宮沢之祐)