米軍北部訓練場返還地で米軍廃棄物を回収する活動を巡り公務執行妨害など複数の罪に問われている東村のチョウ類研究者の被告(46)の第9回公判が7日、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で行われた。
証人尋問で検察側証人の元沖縄防衛局職員が、跡地利用推進特別措置法(跡地法)に基づく原状回復のための「支障除去」について「完了している」と述べた。返還後も廃棄物が残り、支障除去に不備があると指摘される点については「不十分という認識はない」とした。
公判終了後に取材に応じた弁護人の赤嶺朝子弁護士は、「支障除去が行われたのは返還地全体のわずか0・1%に過ぎない。世界自然遺産への登録も見越していたことも踏まえると、国の対応がいかにずさんだったかが改めて明らかになった」と指摘した。
尋問でのやりとりによると、元職員は21年度から23年度まで米軍基地の返還業務に携わる管理部返還対策課で勤務したという。主尋問では、西普天間住宅地区跡地(約51ヘクタール)では約3年かかった支障除去期間が、北部訓練場(約4千ヘクタール)では約1年だったことに「不十分という意見がある」と問われ、「一概に比べられるものではない」「適正にやった」との認識を示した。