8~10日に猛威を振るった記録的大雨が過ぎた11日、本島北部には晴れ間が広がった。一方、各地域では道路の陥没や土砂崩れ、冠水や川の氾濫で道路に堆積した泥など、災害の爪痕が残った。住民や自治体職員らは撤去作業に追われた。被害の著しい同村比地区の住民約20人が村内の宿泊施設に避難した。
氾濫した比地川付近の国頭村比地区では、家屋の浸水被害が30件あった。11日朝から区民や村職員らが集落内や家屋内に押し寄せた泥を掃除したり、浸水で使えなくなった家具を撤去したりと復旧作業に取りかかっていた。
同区の大城洋子さん(72)は、自宅の中に入った土砂をほかの住民と協力して片付けていた。10日午前5時ごろ、近所の住民の呼び掛けで浸水に気づき必死で逃げた。生まれてからずっと暮らしてきた築124年の自宅から持ち出せたのは免許証と目に付いた現金のみだった。それでも「近所の人が来てくれなかったら命が危なかった。若い人も一生懸命に声を掛け合ったので、みんな無事だった」と胸をなで下ろし、笑みを見せながら作業を続けた。
自宅が浸水し、10日から家族4人と避難している外間ジャネッさん(41)は「テレビで見るようなことが自分に起こるとは」と声を落とす。外間さんによると9日深夜に一度、集落内が冠水したが、当時は家まで水が上がってこず、避難を見送った。しかし、10日の大雨で再び冠水が始まると、自宅1階が浸水した。水が引くまで2階で過ごし、村が手配した宿泊施設に避難した。避難後も「雨が降るとまた家が浸水しないか」と不安はぬぐえなかった。
11日は朝から家の片付けや区の作業に参加した外間さん。家に戻れるめどは立っていないが「家を空けている時が不安になる、何からやればいいのか分からないけど、できることからやる」と話した。
住民らが復旧作業を進める中、自宅に戻ることができず、村が手配した宿泊施設に避難する区民もいる。
国頭地区消防本部によると、11日午前11時25分ごろ住民から救助要請があり比地区に救助隊を派遣した。道路の寸断で孤立した60代女性、70代と80代男性を救助した。
(金城大樹、西田悠)