沖縄本島北部の豪雨被害について、災害救助に関する市町村の費用負担をゼロにする災害救助法の適用が困難な状況となっていることが12日までに分かった。
適用主体の県は11日に内閣府に打診したが、既に天候が回復し被害の発生する恐れのある状態を脱していたため、要件を満たさなかった。
内閣府は9日午前段階で、県の担当課に対して適用を打診する電話を掛けたがつながらなかったという。県は、被災者救済に向けて何らかの対応ができないか模索している。
災害救助法が適用されると、避難所の設置や炊き出しといった食品提供などの費用を、県が50%以下、残りを国が負担し市町村の負担はゼロになる。半壊以上の住宅には最大で71万7千円の応急修理費用が支給される。
災害発生で一定数以上の住家被害が生じた場合のほかに、迅速な対応をするために災害発生中に「生命・身体への危害またはその恐れが生じた場合」に適用できるとしている。今回の豪雨被害では、鹿児島県がこの要件を用いて与論町に対して8日に適用している。
災害の後には、人口5千人未満の自治体で住家の滅失(全壊)世帯数が30以上などの適用基準があるが、今回の豪雨ではこの基準を満たす可能性は低いとみられ、災害救助法の適用が難しい状況となっている。
玉城デニー知事は12日、内閣府からの連絡を取れなかったことについて窓口の一本化を指示したとして「週末にまた台風がくるかもしれない。迅速に対応するように指示した」と話した。県で担当する生活安全安心課は「避難者が少なく、被害がこれほど拡大すると想定できていなかった」と話し、今後はより積極的な適用を検討していきたいとした。
(沖田有吾)