米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に関し、斉藤鉄夫国土交通相は5日、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請を巡る代執行訴訟を福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)に提起した。辺野古に関する代執行訴訟は、翁長雄志知事時代の2015年11月以来2度目。辺野古を巡る県と国の訴訟は14件目。大浦湾側の埋め立てを巡り、大きな局面を迎えた。
国交相は設計変更の承認を迫る指示を出したが、4日の期限までに承認しなかった玉城デニー知事に代わって承認することが目的。
提訴を受け、玉城知事は「訴状の内容をよく確認し、どのような対応を取るか検討したい」と述べるにとどめた。県が「期限までに承認を行うことは困難」と回答した翌日の提訴には、「国のお考えだと思う。冷静に受け止めたい」と話した。斉藤国交相は「知事が期限までに承認を行わなかったことは遺憾だ。最高裁判決に沿って法律に基づいた対応をすべきことは明らかで、速やかに承認すべきと考えている」とコメントした。
代執行について定めた地方自治法245条の8によると、高裁那覇支部は提訴日から15日以内に口頭弁論期日を指定する。10月中旬までに第1回口頭弁論が開かれる見通し。迅速な審理が求められるため、一度の審理で結審し、県が敗訴する可能性もある。
裁判所が国交相の請求に理由があると認めると、裁判所は県に期限を定めて承認を命令する判決を下す。県が期限までに承認しない場合、国交相は承認の代執行を行い、大浦湾側の工事が着手されることになる。
玉城知事は21年11月、沖縄防衛局の設計変更申請について、軟弱地盤の調査などが不十分なことを理由として、不承認とした。この処分を巡る訴訟で、最高裁は9月、県の訴えを退け、県の敗訴が確定した。