県は19日、本島のバス交通の現状と課題をまとめ、県議会新沖縄振興・公共交通ネットワーク特別委員会(座波一委員長)で公表した。県は自家用車保有台数の増加に伴い交通渋滞が慢性化した結果、バスの定時性や便数減などのサービス低下を招き、バス利用者が減り続ける「負のスパイラル」に陥っていると分析。これに伴いバス事業者の赤字を穴埋めする補助金は増加傾向にある。公共交通の悪循環を好転させようと、まずは車の利用を減らすために市町村職員の通勤を車から公共交通に転換することを提案した。
通勤手当の認定状況から本島全市町村職員の公共交通利用者は13%、車利用者は87%だった。一方、県庁職員では公共交通利用者が63.9%、車が36.1%だった。
県と国、市町村は2021年度にバス事業者の運行赤字の穴埋めとして約6.3億円の補助金を支出。県は行政がバス事業者の赤字分を穴埋めするよりも、市町村職員のバス利用を促すために通勤手当に予算を措置することが望ましいと提起した。大嶺寛交通政策課長は「過度な車利用を減らし、持続可能なバスの運行に向けた取り組みの一つとして市町村と意見交換したい」と話した。
県内の1985年の自動車保有台数は48万台で、バスの年間輸送人員は延べ7718万人だったが、2022年の自動車保有台数は120万台で2.5倍に達した。22年のバス輸送人員は延べ2134万人、モノレールは延べ1691万人だった。公共交通利用者は1985年比で約52%減の計延べ3825万人だった。
(梅田正覚)