ゴルバチョフメモリアル第1回人間の安全保障フォーラム(琉球新報社、ゴルバチョフ財団日本事務所主催)が8日、那覇市の琉球新報ホールで開催された。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が「世界の動向と沖縄」をテーマに基調講演し、中国、ロシア、アメリカなどとの外交や少子高齢化、子どもの教育などの問題を対話によって解決する重要性を説いた。辺野古新基地問題について佐藤氏は「中央政府ではすでに解決したこととして事務手続きに入っている段階だ」とし、「現在進行形の政治問題として、もう一度議論する必要がある」と述べた。
フォーラムは、東西冷戦を終結に導き、ノーベル平和賞を受賞した元ソ連大統領の故ミハイル・ゴルバチョフ氏の信念を振り返りながら、軍事ではなく「人間」の視点で安全保障を考える理念を沖縄から発信することを目的に開催された。
フォーラムでは、佐藤氏と玉城デニー知事との対談もあり、沖縄の現状や県の自己決定権について意見を交わした。有事への懸念について玉城知事は「国からの情報が不十分であり、当事者でありながらウチナーンチュが排除されている。県民の命を守るためにも、権利を主張しなければ」と危機感を表した。佐藤氏は「戦争を避けるために外交は重要。国は他国の要求や状況を冷静に分析して平和的解決を図るべきで、沖縄とも対等に向き合う必要がある」と持論を述べた。(普天間伊織)