林芳正官房長官は10日の会見で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について「普天間飛行場の危険性を一日も早く除去することだ」と強調した。しかし、10日に大浦湾での本格的な工事に着手したとはいえ、埋め立てなどの工事には9年3カ月、新基地が完成し普天間が返還されるまでには最短でも12年を要するとされる。さらに、難工事が予想されることから今後も設計変更などが必要となる可能性があり、予定よりも長期化する懸念は根強い。県は「辺野古は一日も早い普天間の危険性除去を実現するための解決策とはならない」(県幹部)と指摘する。
10日に始まった工事は、海上の資材置き場(ヤード)の設置だ。今後、大浦湾側の護岸造成などを経て、海底の軟弱地盤を改良する。海底に砂などのくいを合計7万1千本打ち込む工事で、最も深い「B27」地点では軟弱地盤が水面下約90メートルに達するという難工事となる。
軟弱地盤の影響や、天候の状況などで工事が予定通りに進むかは不透明で、今後も複数回の設計変更申請が行われる可能性がある。特にB27地点は、直接的な力学的試験をせず、別の3地点から強度を類推していることから、工事が進む中で計画を変更する必要性が生じるのではないかと指摘されている。玉城知事は昨年12月の会見で、「今後も新たな変更承認申請が数回、数十回行われる可能性は否定できない」との認識を示し、新たな申請が出された場合には「厳正に審査をしていかなくてはならない」と述べている。
(沖田有吾)