大浦湾埋め立て着工、岸田首相「普天間の固定化避ける」 沖縄県の反発には「丁寧な説明を続けていきたい」


大浦湾埋め立て着工、岸田首相「普天間の固定化避ける」 沖縄県の反発には「丁寧な説明を続けていきたい」 岸田文雄首相(資料写真)
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 【東京】米軍普天間飛行場の辺野古移設に向けた大浦湾側の工事に着手したことについて、岸田文雄首相は10日夕、首相官邸で記者団の取材に応じ、「準備が整ったということで防衛省において大浦湾側の工事に着手したと承知している」と述べた。その上で「世界で最も危険といわれる普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない。一日も早い全面返還に向けて努力を続けていく」と従来の政府方針を強調した。

 一方、玉城デニー知事が「極めて乱暴で粗雑な対応」などと反発していることには、「政府としてこれまでも地元の皆さまに対しても説明、さまざまな機会を通じて行ってきた。そしてこれからも丁寧な説明を続けていきたい」とした。

 当初は12日開始とみられていた工事が前倒しされた点については、「防衛省において準備が整ったと判断して工事に着手した」と述べるにとどめた。9年3カ月としている工期については、「防衛省において必要な検討を行った上で、作成したものだ。この工程に従って工事を進めるべく全力で取り組んでいきたい」と説明した。

 林芳正官房長官は同日午前の会見で、工事開始を発表した。工事を巡る県との協議の認識について、10日に行われた海上ヤードの整備作業は「協議の対象外」との見解を示し、「今後とも地元の皆さまへの丁寧な説明を行う」と強調した。

 木原稔防衛相は10日夕、防衛省で記者団に、サンゴの移植が完了しておらず、県との協議も調わない中で着工したことも「適切だった」とした。サンゴ類への影響については「シミュレーションの結果、移植対象サンゴ類の生息環境に影響を与えないことを確認している」と述べた。

 (安里洋輔、明真南斗)