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【深掘り】「後付けされるのでは…」 「訓練縮小」の説明にもぬぐえぬ不信感 “選挙前”の反対運動拡大を警戒か 沖縄・うるま陸自訓練場計画


【深掘り】「後付けされるのでは…」 「訓練縮小」の説明にもぬぐえぬ不信感 “選挙前”の反対運動拡大を警戒か 沖縄・うるま陸自訓練場計画 住民の質問に答える防衛省職員ら=11日、うるま市の石川保健相談センター
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 うるま市石川での陸上自衛隊訓練場整備計画を巡り、沖縄防衛局は11日の住民説明会で、従来の説明を転換し、空包使用や緊急時以外のヘリの離着陸は行わない考えを示した。住民の理解を引き出す狙いだが、自衛隊としては訓練の充実化を図りたい思惑もあり、完成後に変更される可能性は拭えない。参加した市民は「その場しのぎとしか思えない。(機能は)後付けされるのではないか」と早くも不信感をにじませた。 

 当初の訓練内容を間引くとの説明をした背景には、保守系政治家も含めて広がった計画への懸念がある。

説明転換、自衛隊内には不満も

 6月には県議選が控え、衆院解散・総選挙も取りざたされる。自民党内からも「整備を強行すれば反対運動に火が付くだけだ」と影響を懸念する声が相次ぎ、騒音につながる空包の使用やヘリの発着は訓練から除外するよう求めが出ていた。

 説明の転換に、自衛隊には不満がくすぶる。関係者の一人は「駐屯地内でさえ可能な空包使用やヘリの離着陸をしない訓練場は聞いたことがない。訓練場の意味がないとは言わないが、本来は必要な訓練だ」と物足りなさを口にした。

 一方、ヘリは「緊急時などを除き飛行しない」など「やらないこと」を挙げはしたが、例示していないことは実施可能とも解釈できる。防衛省・自衛隊側の運用について幅を持たせた形だ。

与那国、石垣は当初説明以上の運用に

 当初は沿岸監視部隊の配置のみだった与那国駐屯地で、地対空ミサイル部隊の配備が決定。石垣駐屯地では昨年4月の開設段階で「日米共同使用や訓練は現段階で全く計画されていない」(井上雄一朗司令)としていたが、数カ月後には日米共同訓練が行われるなど、当初説明以上の運用がなされる例が続いている。

 政府関係者は「自衛隊は将来的に、いろんな使い方を考えるだろう」と含みを持たせた。

 訓練場整備計画について県は警戒感を強める。県幹部は「こんな大きな事業が何の相談もなく、次年度予算でいきなり出てきた。自衛隊への不信感を高めることにもなる。不意打ちのようなことは絶対にやるべきではない」と強く批判した。木原稔防衛相は17日にも玉城デニー知事と面会する方向で調整されている。県幹部はその際にも「言及せざるを得ないだろう」と話した。

(知念征尚、明真南斗、金盛文香)