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辺野古サンゴ訴訟 沖縄敗訴 高裁支部、農相指示「適法」


辺野古サンゴ訴訟 沖縄敗訴 高裁支部、農相指示「適法」
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け、沖縄防衛局が進めようとする大浦湾からのサンゴ類移植を巡り、農林水産相が県に特別採捕を許可するよう是正の指示をしたことは違法だとして、県が指示の取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は15日、請求を棄却した。判決は指示について「適法かつ有効である」と示した。県は判決を「不当」と批判し、今後の対応を検討する。 

 三浦裁判長は判決理由で、県が当初の不許可処分と同じ理由で農相指示を受けても許可しないことは、漁業法規定に違反すると判示。不許可処分は農相の裁決で取り消されたにもかかわらず、県は移植の必要性が認められないとだけ主張していると指摘した。

 防衛局の許可申請による移植は、環境保全措置として「妥当性が認められる」と強調。新基地建設の設計変更申請を巡る是正の指示を巡る訴訟で、裁決に従って処分すべき義務を負うとした2023年9月の最高裁判決の説示も援用した。

 農相が裁決した上で是正を指示したことは、防衛局の権利利益の迅速かつ実効的な救済を図り、行政の適正な運営を確保する行政不服審査法の趣旨に合致し、権限の乱用には当たらないとした。

 判決を受け、玉城デニー知事は「裁決の存在を理由として是正の指示を適法とした不当なものだ」と反発。国が裁決と是正の指示を連結して使用しているとして、「司法自ら積極的に容認したことは、地方自治の本旨を顧みないものと言わざるを得ない」と述べた。

 サンゴ移植を巡って防衛局は22年7月、サンゴ類約8万4千群体の特別採捕許可を県に申請。県は同年9月、防衛局が変更申請の承認を得ておらず、移植の必要性が認められないとして不許可とした。農相は同年12月に不許可処分を取り消し、23年3月、県に許可を指示した。県は国地方係争処理委員会に審査を申し出たが退けられ、同年8月に提訴した。