米空軍は15日、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を実施した。広がる反発も意に介さず、3カ月連続で実施する異例の事態だ。1月25日には、同訓練を伊江島補助飛行場で実施したことが判明している。伊江島ではできないとしてきた従来説明の「矛盾」が払拭されない中「(伊江島で実施するとした)日米合意の原則が軽視されている」(県関係者)と批判が強まっている。
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米空軍は、伊江島でのパラシュート降下訓練の際は固定翼機に兵員を乗せて離陸。伊江島の提供施設上で降下させたのち、兵員回収のため伊江島の滑走路に降りることが多い。
米軍は伊江島の滑走路の状態が悪く、固定翼機が離着陸できないとしてきた。ただ1月25日は固定翼機を使い、伊江島で訓練を実施。固定翼機は伊江島には降りておらず、滑走路を使わずとも訓練ができることを示した形だ。
自衛隊関係者によると降下訓練で目的地での航空機の離着陸は必須ではなく、自衛隊でも訓練先での離着陸なしに一般的に実施しているという。日米間の合意を軽視する米軍の姿勢が浮き上がる。
玉城デニー知事は15日に出したコメントで「訓練が米側の裁量により自由に行われる状態になることを強く懸念する」と警戒。訓練を見ていた嘉手納町議は「嘉手納で訓練を常態化させるためのステップのようだ。既成事実が積み重なっている」と懸念した。
日本政府は今回も「例外」に当たるとして訓練実施を容認した。防衛省関係者は伊江島でできる訓練かどうかは使用する航空機や訓練後の兵士の動きによっても異なるとしつつ「米軍も基本的に伊江島で実施すべきだと分かっている。できるだけ早く伊江島の滑走路を使用再開できるようにしたい」とした。
これに対し県幹部の一人は、伊江島の滑走路の改善時期が示されないことを問題視。「伊江島の滑走路を管理しているのは米軍だ。訓練に影響を与えるほど重要な設備を離着陸ができないような状態にしていること自体がおかしい」と重ねて批判した。
(知念征尚、明真南斗、石井恵理菜)