沖縄防衛局は19日、名護市辺野古の新基地建設工事について有識者から助言を得る環境監視等委員会を那覇市内のホテルで開いた。中村由行委員長(元横浜国立大大学院教授)は終了後、取材に対し、環境保全措置として防衛局が実施しているジュゴンの生息調査について、周辺海域で個体が長期間確認されていない状況を踏まえ「調査を縮小する方向で検討」するよう委員会として指導助言したと明らかにした。
沖縄近海のジュゴンを巡っては、2022年に県の調査で大浦湾に近い久志沿岸海域でみつかったふんからジュゴンのDNAが検出された。これを受け、県は今年2月、防衛局に対し、調査拡充などを含めた環境保全措置を求める文書を送付しており、委員会の指導助言は、県の要望と食い違う内容となった。
防衛局のジュゴン調査を巡っては、2020年にジュゴンの鳴き声らしき音が確認されたことを踏まえ、当初より拡充されてきた経緯がある。
中村委員長は「たくさんの調査をしているにもかかわらずジュゴンの姿が見えないため効率などを踏まえれば縮小が可能ではないかという趣旨」だと説明した。
一方、1月に埋め立て工事が始まった大浦湾側の「C1」と呼ばれるポイントでは2月に計3回、基準値を超える海水の濁りが観測されたことも報告された。
防衛局担当者は、以前から潮流などの影響で海底の泥が巻き上がる現象が確認されている場所だとし、工事の影響を否定した。会合は冒頭を除き非公開で行われた。(知念征尚、慶田城七瀬)
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ジュゴン調査縮小助言 辺野古環境監視委 沖縄県は拡充要望
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琉球新報朝刊